一般国道113号
鷹の巣旧道 第6部
「昔と今を繋ぐ道」

(新潟県一般県道492号 鷹の巣公園線)

2026年5月5日 探索・2026年7月17日 公開

昔と今を繋ぐ道

旧き擁壁を抜けて、道はまた直線区間に戻ると共に、少し上り坂になる。それでも右側に旧き擁壁が残っていることに注目したい。道幅は狭いし、結構な上り坂だし、この区間は鷹の巣旧道の中で結構なヤマ場だったのかもしれない。この道の山側には「榎峠」と呼ばれる旧道が潜んでいたりするが、この国道113号は古くは小国街道と呼ばれた街道筋で、山形県の置賜地方と新潟県の下越地方を繋ぐ、およそ70kmの旧街道だった。この区間には大小13の峠が存在することから十三峠とも呼ばれた難所の連続で、この鷹の巣旧道も例外なく難所だったようだ。今、私はその道を辿っている。「榎峠」ではないが、歴史を重ねた、まさに昔と今を繋ぐ道を辿っているだけに、小さいところも見逃すことなく辿っていきたいと思う。

うん!いい道だ!

新緑に包まれた道の風景。こういった風景は実に美しく、私のお気に入りでもある。まだ完全な深い緑になる前の淡い緑の風景は、この時季しか見れない特別なもので、辿っていても清々しい。これでクマさえいなければなぁ…。と言いつつ、こうして歩いている私だ。妙に狭い路側帯と掠れた白線が、実にいい雰囲気を醸し出している。

この道の左側は荒川、山形県および新潟県を流れる河川で、一級水系の本流。国土交通省による平成15年水質調査では、日本一きれいな一級河川のひとつと評価された川。「荒川」の名前の由来は字の通り「荒ぶる川」に由来し、昔からよく水害を起こす川で、その代表的なものは「羽越水害」だろうか。1967年(昭和42)年8月に発生したこの水害、死者行方不明者90名、全壊・流出家屋1056戸、被害金額約226億円(当時)という大水害だった。この道も、羽越水害の当時は何某かの市街を受けたのだろう。だからこそ、一段高いところに現道が作られた。私が今通っているこの道は、その羽越水害を潜り抜けてきた道。今も残っていることに感謝したい。

吹付コンクリートで固められた岩肌。この辺は崩れやすい地質のようで、それから考えても斜面補強の一つとして施工されたものだろう。もしかすると過去に一度崩れたところなのかもしれない。それだけに、過去は小国街道と呼ばれた道は災害に見舞われる道で、今までに何度も崩れて補強し続けた道ということも考えられる。それは当WEBのレポート「八ツ口旧道」からもおわかりいただけると思う。まだの方は、ぜひご覧いただきたい。113号のレポートは、すべてこの「八ツ口旧道」と「綱取橋旧橋」に集約されると思うのだ。

スパッと切り立ったような斜面(と言うか、法面だな)。これが本来の姿のものか、それとも道路を造った際に切り取ったものかは不明だけど、こうして佇んでいる姿は非常に美しい。人が手を加えた場所でも、自然が受け入れてそのまま風化するか、それとも信じられないほど強烈な復元力で元の姿に近づけるかは、自然のみが知っている。その考え方からすると、ここが人が手を入れて造った(すなわち「切り取った」場所)とすれば、ここは前者の「自然が受け入れて風化する」のパターンだったらしい。まるで水墨画に出てきそうな岩じゃないだろうか。

この風景を見ると、旧国道の風格十分!。道幅はいかんせん狭いが、道に貫禄と言うものが感じられるのは、私だけだろうか。ここは新潟県管理ではなく、関川村管理の村道になるが、それでも非常によく管理されていると思う。同じ関川村管理でも、八ツ口旧道はかなり荒廃しているが…。ところで、これは今まで通ってきた道を振り返って撮影したものだ。この風景が実に美しいと感じてしまったので、掲載させていただいた。相変わらず低すぎるガードロープは気になるが…。

(作者注…ここで言う八ツ口旧道とは、国道113号の廃道や旧道の中でも、あの「宇津峠」と並ぶエース級の旧道のことだ。国道113号の現道は「八ツ口大橋」と「金丸大橋」で荒川の対岸に渡り、八ツ口の集落を経て、また荒川を渡って元の線形に戻っているが、もともとの線形は荒川を渡らずに川岸の急傾斜地を通っていて、八ツ口集落へは「八ツ口橋」と「八ツ口小橋」で接続していた。この八ツ口旧道の区間には3本の橋と1つのロックシェッドがあり、他にも玉石積みの大擁壁や、沢を迂回する旧旧道の跡など、数多くの遺産級の道路構造物が残る道だったが、近年2本目の橋と3本目の橋の間で斜面の大崩落が発生して路盤が消失しており、現在は通り抜けは不可能になっていると思われる。詳細は拙著のレポート「一般国道113号 八ツ口旧道」を参照いただきたい。)

おっ、113号との合流点が見えてきた。道は急な登り勾配になり、現道と接続している。この辺りは1967年(昭和42年)8月26日から8月29日にかけて降った大雨で発生した羽越水害によって改修された区間で、現道の路盤は若干嵩上げされているのかもしれない。

(作者注…この時に数多くの区間で「局改(局地改良)」として、山形県側は東北地方整備局(当時は建設局)山形河川国道事務所が、新潟県側は北陸地方整備局(当時は建設局)羽越河川国道事務所の手で改修された。なお、山形県側でも飯豊山系の砂防は北陸地方整備局の「飯豊山系砂防事務所」が、荒川水系の河川については「羽越河川国道事務所」が管轄している。)

次回、現道との合流点や「鷹の巣トンネル」を通り、よくわからない構造物(トマソン)へと向かう!。

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